日本の鉄路について考える

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通勤ライナーから特急化へ(中央ライナー・青梅ライナー廃止について)

2019年3月のダイヤ改正により、平日の通勤時間帯に運行されていた中央ライナー」と「青梅ライナー」が廃止されました。

それと同時に、特急「はちおうじ」と「おうめ」が設定され、事実上のライナーの特急化が行われました。

このライナーの特急化されたことによって起こった変化を見ていきたいと思います。

①料金体制

元々通勤ライナーは、通勤時間帯の着席保障に対するニーズに応える形で誕生しました。

中央線にも中央ライナー青梅ライナーが運行されており、普通車指定席券はワンコイン(実際は510円)で、比較的気軽に乗ることのできるサラリーマンにとってありがたい存在の列車でした。

この両列車は特急「はちおうじ」、「おうめ」に置き換えられたことにより、特急料金が適用されることになりました。特急料金は営業キロが50kmまでが760円、100kmまでが1,020円で計算されます。

その結果、東京~立川、八王子、拝島まで利用する場合は実質250円の値上げ、東京~河辺、青梅までは50km以上に該当する為510円もの値上げとなってしまいました。

チケットレスサービスでの購入は100円引き、車内精算は200円増しです。

 

これにより今までライナーを定期的に利用してきた旅客からすると気軽に利用しにくい列車になってしまったのではないかと思います。

あずさやかいじで使用されているE353系で運行されている

 

②運行区間、本数の見直し

今回は主に帰宅ラッシュ時間帯に運行される下り列車について見ていきたいと思います。

中央ライナーとして走っていた際は東京~高尾駅まで運行をしていましたが、特急はちおうじに置き換わってからは全列車が八王子止まりに短縮されてしまいました。

利用客の多くが立川、八王子で下車するものの、高尾まで利用していた旅客も一定数いましたので、運行区間の短縮は残念に思います。ただし、八王子駅で前を走る高尾方面行の列車に乗り継ぎが出来るようなダイヤが組まれており、そこは評価できる点だと思います。

青梅ライナーは東京~青梅駅まで運行をしており、立川駅を出ると青梅線へ直通する列車でした。特急おうめも行先は引き続き青梅駅区間は変更なく運転されています。

また運行本数は計5本(2024年3月ダイヤ改正時点)、うち3本がはちおうじ号、2本がおうめ号です。

 

③所要時間の変化

中央線は過密ダイヤで有名な路線で、ラッシュ時には2分に1本のペースで列車が運行されています。途中駅で追い越しが出来るとはいえ、それにも限りがあるので中々スピードは出ません。これはライナー時代も特急化後も変わりがありませんので、所要時間が短縮されないのに料金は上がるといった現象が起きています。

 

 ④指定席券の購入方法

ライナー時代は駅に設置されている自由席特急券券売機のみでライナー券を購入出来ましたが、今はネット予約が主流になっており、会社や自宅などであらかじめ購入したいという要望が高まっていました。その要望が、特急化によりネット予約の取り扱いがはじまったことでかなえられたので、指定席券の購入についてはサービスが向上したといえます。

このようにライナーの特急化にはユーザー目線でもメリット・デメリットがあります。

料金が高くなり、区間によっては減便されるといったデメリットが目につきやすいですが、今までは乗車駅でしか購入できなかった指定席券があらかじめ購入出来るといったメリットも存在します。

 

近年では並走して走る、西武線に「拝島ライナー」、京王線には「京王ライナー」が設定され、鉄道各社が着席保障列車の導入に力を入れています。料金や運行本数が各社毎に異なり、着席保障列車がトレンドとなる可能性もあると思います。

中央快速線は使用車両のE233系グリーン車を導入し、12両編成化する準備も進められています。この事業によってこの先、特急はちおうじ、おうめがどのような変化をしていくのか注目です。

 

特急はちおうじ、おうめは東京駅から乗れるといったメリットもあります。今後は利用するユーザーがどの鉄道会社の着席保障列車を選択していくのか、その動向に注目していきたいと思います。