日本の鉄路について考える

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札沼線の末端区間廃止から思うこと(前編)

JR北海道の路線の一つに札沼線という路線があります。

札沼線は桑園~北海道医療大学駅間を走行する路線のことですが、列車は隣の札幌駅を起点に運行されています。

この路線の沿線には高校や大学が数多く設置されているため、「学園都市線」という愛称が付けられています。

 

札沼線は札幌~石狩沼田駅間を結ぶ路線でしたが、1972年に赤字83線の一つとして石狩沼田~新十津川駅間が廃止となり、その後2020年には北海道医療大学新十津川駅間が廃止され現在の姿になっています。

路線名の札沼線とは、札幌と石狩沼田を結ぶ路線という当時の名残で名前が残っています。ただし近年は学園都市線という愛称を用いるのが一般的で札幌駅での放送などにも愛称である学園都市線が案内として使用されていますので、札幌駅で札沼線の乗り場を聞いてもピンと来ないケースもありそうです。

 今回は札沼線の簡単な路線紹介を前編、2020年の廃止区間の考察を後編としてまとめていきたいと思います。

 二つの顔を持つ札沼線

札沼線は路線の中で二つの顔を持っており、両者を比較すると同じ路線であることが不思議な程大きく性格が異なります。

 

①札幌・桑園駅北海道医療大学駅

この区間は沿線に高校や大学の数が多く、札幌のベットタウン化が進んだことで宅地開発がなされた区間となります。その為、朝夕のラッシュ時は通勤通学利用の需要が大きく、ラッシュ時は1時間に4本程度の電車が運転されています。また日中の時間帯でも20分に1本程度の割合で電車が運転されていますので利便性が高いエリアです。

この区間の大部分(八軒~あいの里教育大駅間)は複線であり、全区間で電化されているため、3,6両編成の電車が使用されています。

八軒駅~札幌駅まで複線化されていないのは、札幌駅周辺が高架化された際に札沼線の存在感はほとんどなかった為(全線廃止されてもおかしくない状況でした)、専用の線路がなかったという背景があります。その後需要が大きく伸びた為、無理やり単線の線路が専用線路として設けられましたが、複線分の用地がなかったので単線のまま現在に至ります。

 

電車は札幌駅からあいの里公園石狩当別北海道医療大学駅間で運転されています。以前は1日1往復だけ札幌を超えて千歳空港まで直通する快速エアポートが運転されている時期もありました。

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この区間は電化されており、利用者が多い為最長6両編成の電車が使用されている

北海道医療大学駅新十津川駅

2020年の廃止までは札幌方面からこの区間札沼線で向かう場合、途中の石狩当別駅で乗り換えが必須でした。この区間は利用者が少なく、非電化区間になるので「キハ40系」という気動車が使用されていました。

列車の運行本数としては廃止直前のダイヤを見てみると、石狩当別浦臼間が5往復、石狩月形までが下りが2本、上りは1本、終点の新十津川駅まで走る列車は1往復と閑散としたダイヤで、日常的に利用するのが困難なダイヤでした。

ちなみに石狩当別駅から新十津川駅へ向かう列車は7時45分発の1本でしたので、この列車が新十津川行の最終列車であり、これを逃すと列車で新十津川駅へ向かうことは出来ません。

また石狩月形駅新十津川駅間は列車の行き違いが出来る設備がないため、一本の列車しか走行できない区間としても有名でした。

新十津川駅に停車中のキハ40系 この風景を見ることはもうできない

 

廃止直前のダイヤでは新十津川駅を発車するたった1本の電車は10時丁度発のみ。

この電車に乗っても、日帰りでこの駅に戻る列車はないので札沼線のみを利用する場合は日帰りで札幌方面へ行くことは出来ませんでしたし、また時間帯的にも通勤通学利用が見込める時間帯でもないですので、この区間の役目は当分前に終わっていたのでしょう。

廃止前のブームで鉄道ファンの方を中心に利用されていましたが、「地元住民の足」としてはほとんど機能していないことを実感するダイヤでした。

 

次回は北海道医療大学駅新十津川駅間の廃止について考えていきたいと思います。

※途中の写真はWikipediaの画像を使用しております。