日本の鉄路について考える

日本の鉄道と観光スポットについての記事を中心に紹介します

一部区間廃止が決定的となったJR久留里線の未来

2024年11月27日にJR東日本より衝撃の発表がなされました。

その内容というのが、JR久留里線木更津駅上総亀山駅 全長32.2㌔)のうちの約1/3の距離に相当する久留里駅上総亀山駅間9.6㌔について廃止するというものです。

今後は沿線自治体との協議のうえ、バスなどの公共交通機関に転換する方針であるとのことです。

直近の報告では、沿線地域の移動需要を考慮すると「自動車中心の交通体系に移行することにより、より利便性が高い地域公共交通が実現する」と結論づけられていましたが、ここまで早く廃止に向けた動きが加速するとは思っていませんでした。

 

これまでもJR東日本管内では災害などで運休となった地方路線を廃線などとするケース(津軽線や山田線の一部など)はありましたが、利用者数の減少のみを理由とした廃止ははじめてのように思います。

今回は、JR久留里線の現状を見ながら、廃止発表に至った経緯を考察していきたいと思います。

久留里線で使用されているキハE130系車両 ※画像:君津市ホームページより

1.利用者数の減少と営業係数の悪化

早速ですが、JR東日本が発足した1987年と2023年の利用者数の変化を存続される木更津駅久留里駅間と、廃止される久留里駅上総亀山駅間で分けて見ていきたいと思います。

木更津駅久留里駅 4,446人/日→1,072人/日(76%減)

久留里駅上総亀山駅 823人/日→64人/日(92%減)

このように、1987年時点から久留里駅を境に利用者数に大きな差があることが分かります。そして、2023年データで久留里駅上総亀山駅間は1日に64人しか利用していないという状態です。鉄道の普段利用がいかに少ないかが見て取れますし、64人であればバス輸送でも問題なく運べる数値になります。

続いて営業係数を見ていきましょう。

木更津駅久留里駅 1,107円(収益率:9.0%)

久留里駅上総亀山駅 13,580円(収益率:0.7%)

こちらも、久留里駅を境に大きな差があることが分かります。全線にわたって赤字になっているのですが、久留里駅上総亀山駅間に至っては100円稼ぐのに13,580円もかかるという不採算ぶりです。

この数字は先述した災害復旧を断念し、廃止予定になっている津軽線中小国駅三厩駅間の13,520円を上回るワースト1位の結果となっています。

※データはJR東日本発表資料より参照

 

2.競合バス路線の存在

東京湾アクアラインの開通に伴い、東京駅から安房鴨川を結ぶ高速バスが、久留里線に並走する形で運行されています。高速バスは東京湾を横断できることから、所要時間で鉄道よりも優位に立つことができ、房総特急の驚異的存在ともなりました。

この高速バスは木更津や久留里を経由すること、久留里駅から2時間弱で東京駅まで運行されていることもあり、高速バスに需要が流れているものと推定されます。

また、沿線は車社会であることから、自家用車でアクアラインを利用するケースや、久留里駅木更津駅まで自家用車での送迎・高速バスへの乗り換えなどの流動が大きいものと推定できます。

 

3.不便なダイヤ体制

木更津駅久留里駅間については、毎時1時間に1本程度の列車本数が確保されていますが、久留里駅上総亀山駅間は上り9本、下り8本のみしか運行されない状況です。

これは通学・通勤需要が木更津駅周辺ではあるものの、久留里駅より先の区間ではそういった需要も少ないことを意味しています。

これではますます電車から車移動へシフトしてしまうのは致し方ない部分があるといえます。

※11/16~12/1までは「奥房総 亀山湖 紅葉ハイキング ~橋めぐり~」というイベント開催に伴い、臨時列車が久留里駅上総亀山駅間でも運行されている模様です。

このように、時代の変化とともに車社会への移行や、少子高齢化による通学需要の減少など、久留里線を取り巻く環境は厳しいものとなりました。

近隣の養老渓谷などの観光需要などがない、久留里駅上総亀山駅間の地域輸送は限界を迎え、今回のような決断に至ったのだと思われますが、今回の事例を皮切りに首都圏であっても鉄道網の再編が行われていくことになると考えられます。

今ある路線が今後も当たり前に走っていくとは限らないのだと改めて実感することになりました。

JR北海道管内にて発生した脱線事故から考える鉄道貨物の安全性(下)

2024年11月16日に発生したJR北海道管内の貨物列車脱線事故の追加発表が11月18日になされました。

その内容は想像以上のもので、破損したレールは本来15ミリある部分が腐食によって3ミリにまで薄くなっていたということでした。鉄道の安全について再度考えさせられることになったと実感しています。

今回は同内容を踏まえたうえでの考察をしていきたいと思います。

破損したレールの写真 わかりにくいですが、腐食が進んでいます ※画像:JR北海道発表資料

※(上)編は以下の以下のリンクよりお読みいただけます

southsnows.hatenablog.com

 

今回の予想以上の腐食が発生した理由についてはいくつか考えられると思います。

一つ目は降雪です。北海道は降雪が多く線路にも雪がたまりやすくなります。そうすると目視での点検などの障害となり得ると考えられます。また、融雪時に雪解け水が鉄の腐食を早めることも推察できます。今回は踏切にあたる線路が破損したとのことで、踏切板などの設置物があったことも、早期発見の妨げになったと思います。

二つ目は塩害です。同区間は海が近い立地のため、海風によって海水の塩分が線路に付着しやすい環境にあったと思われます。これが鉄の腐食を早めたのではないかと考えられます。

三つ目は特急列車及び、貨物列車の重量による負担です。同区間は特急北斗が通過する区間であり、普通列車よりも性能の高い列車が通過します。また、2011年の不祥事が明るみになる以前は特急列車の130km/h運転や振り子式列車の走行など、線路にかかる負担が現在よりも大きかった期間が存在します。ただし、森駅は特急列車の停車駅であることから、最高速度で同区間を日常的に走行することは少ないように思われますので、この影響は少ないかもしれません。

それ以上に影響があるのは、貨物列車の重量によるものだと考えられます。多くのコンテナ荷物を積載し、長編成で走行する貨物列車は旅客列車に比べて重量が重くなります。その分通過時に線路にかける負担は大きくなりますので、今回の事故においても貨物列車の通過時の負担に耐え切れず破損したものではないかと推定されます。

事故発生の踏切 傾斜があることがわかります ※画像:JR北海道発表資料

貨物列車が日常的に通過する区間については保線コストが大きくなることが一般的ですが、経営状況の厳しいJR北海道がどこまで対応することができるのか疑問が残ります。

北海道はただでさえ除雪による保線コストがかかる路線が多く、列車本数が少ないことから、営業列車とは別に除雪車を走らせる必要があります。

この事故以前から「当社単独では老朽土木構造物の更新を含め、安全な鉄道サービスを維持するための費用を確保できない線区」が10路線13区間もあることを公表しています。今回の事故を受けて更に保線コストが増大する事態となれば、無理して維持するのではなく廃止してしまうといった動きが加速してしまう恐れもあり、今後の鉄道事業に大きな影響を与えかねません。JR北海道の線区は旅客輸送よりも貨物輸送の重要度が高い区間もあるため、一企業に丸投げするスタイルには限界があるのではないかと思います。

北海道の鉄路は大きな分岐点にあり、今後の対応次第では鉄道網が大きく縮小するといった可能性もあることから、続報に注目したいと思います。

JR北海道管内にて発生した脱線事故から考える鉄道貨物の安全性(上)

2024年11月16日、JR北海道より心配な発表がなされました。

それは、函館線の森~石倉駅間にてJR貨物の貨物列車が脱線したというものです。

数年前に起こった、脱線事故を思い出させる発表に心配の声が上がっています。

今回は同事故の現状と、想定される影響を考察していきたいと思います。

 

1.事故の概要

発生日時:2024年11月16日 1時41分頃

発生場所:函館線 森~石倉間 53k129m付近

関係列車:貨物3087列車 名古屋ターミナル発札幌ターミナル行き

列車編成:機関車1両、コンテナ貨車20両

※事故によるけが人なし

 

脱線原因は現時点では不明とのことですが、近年はJR北海道の保線に関する不正やJR貨物の車軸検査の不正がニュースとなったこともあり、そういった理由が事故の原因ではないことを願うばかりです。

複数の車両が脱線していることが分かります ※画像:JR北海道発表資料

2.事故による影響

この事故によって、同区間を走行する特急北斗、普通列車、貨物列車が運休を余儀なくされています。

バス代行を実施しているといった情報もありますが、輸送力が圧倒的に不足しており、利用客からは不満の声が出ている模様です。

 

また、同区間は北海道と本州の鉄道貨物輸送の大動脈といえる区間であり、北海道の農産物の輸送などに大きな影響が出ると見込まれます。

脱線の影響で軌道にも損傷が発生していることが確認できます ※画像:JR北海道発表資料

この事故では幸いなことに死傷者は発生しませんでしたが、これが旅客列車の通過時に発生していた場合は被害が大きくなっていた可能性もあります。

事故原因の究明と再発防止策の検討が第一ではありますが、JR北海道JR貨物の深刻な経営状態を考えると、自己努力に頼るのではなく公的な支援も不可欠になるのかもしれません。

少子高齢化や2024年問題でトラック輸送を中心に人員不足が深刻になりつつある昨今、鉄道貨物に改めて注目が集まっています。今回の事故を教訓に今以上の安全対策を行っていただきたいと願います。

JR北海道の厳しさを数字から追う

経営危機が危ぶまれているJR北海道ですが、令和5年度の営業係数が札幌近郊区間で100を下回ったとして大きな話題となりました。

それでも、JR北海道路線全体での営業係数は近年の赤字区間廃止を行ったうえでも157と100を超えており、走らせれば走らせるほど赤字となる厳しい状況です。

 

数年前までは感染症流行の影響も相まって、営業係数が全路線で100を超えているという衝撃的な状態でした。すなわち、JR北海道のドル箱路線と言われている札幌~新千歳空港駅間をはじめとした札幌近郊区間も赤字だったのです。

これにはいくつかの要因がありますが、本州の鉄道会社と大きく違う点は冬季の除雪費用が大きくかさむということ、札幌一極集中による輸送密度の低下があると考えられます。

 

今回はJR北海道各駅の1日あたりの乗降客数をJR東日本の路線に当てはめるとどういった結果になるのかを調査し、JR北海道の厳しさを数字から追っていきたいと思います。

f:id:southsnows:20190905234921j:plain

廃線が続けばいずれ北海道の路線はこれだけになってしまうかもしれない ※画像:エキサイトニュース

 ①乗降客数上位20位以内の駅

 

まずはJR北海道の乗降客数トップ5の駅を比較してみましょう。

1位:札幌 154,528人→立川(JR東日本:第14位) 150,628人

2位:新千歳空港 27,870人→我孫子(JR東日本:第140位) 27,877人

3位:新札幌 25,326人→幕張本郷(JR東日本:第149位)  25,780人

4位:手稲 25,186人→逗子(JR東日本:第150位)  25,184人

5位:琴似 19,002人→長野(JR東日本:第187位)  19,286人

 

以上の駅がランクインをしました。やはり、200万人都市「札幌」の中心である札幌駅の利用は飛びぬけて多いものの、それでも首都圏でいうと東京都多摩地域の中核駅である立川駅と同規模であるので、200万人都市としては寂しい数字であると思います。

2位以降も札幌圏の駅がランクインしていますが、数字は一気に下がり、2位の新千歳空港駅でさえも首都圏で当てはめると常磐線の終着駅としてなじみのある千葉県の我孫子駅となります。

さらに5位の時点で乗降客数は2万人以下とさみしい数字となっています。

運行本数の違いがあるものの、この時点ですでにJR北海道の運営が厳しいことが両者を比較することでお分かりいただけるのではないでしょうか。

続いて6位~20位を見ていきましょう。

6位:桑園 18,858人→鎌取(JR東日本:第188位)  18,629人

7位:千歳 15,914人→天王台(JR東日本:第215位)  15,984人

8位:小樽 14,670人→小作(JR東日本:第225位)  14,718人

9位:白石 14,058人→与野本町(JR東日本:第230位) 14,124人

10位:恵庭 13,544人→葛西臨海公園(JR東日本:第235位) 13,646人

11位:北広島 13,264人→籠原(JR東日本:第239位) 13,256人

12位:大麻 10,768人→牛久(JR東日本:第267位) 10,776人

13位:苗穂 10,766人→北与野(JR東日本:第268位) 10,747人

14位:野幌 10,198人→尾久(JR東日本:第272位) 10,153人

15位:星置 9,442人→谷保(JR東日本:第278位) 9,442人

16位:発寒中央 7,904人→南古谷(JR東日本:第298位) 7,783人

17位:稲積公園 7,726人→市川塩浜(JR東日本:第300位) 7,720人

18位:発寒 7,648人→稲城長沼(JR東日本:第301位) 7,586人

19位:岩見沢 7,166人→浜野(JR東日本:第304位) 7,265人

20位:森林公園 7,016人→荒川沖(JR東日本:第305位) 7,062人

7位の千歳駅までは15,000人以上でしたが、観光地で有名な8位の小樽駅以降は15,000人を下回ります。

そして特急列車が走っており北海道でも有数の大きな都市である旭川でに至ってはベスト20に入らないという結果になっています。

16位以降までくると7,000人台にまで下がり、関東でいうとかなりローカルな駅といったイメージになる駅と同じくらいの数字になります。

 

一方で11位にランクインした北広島駅北海道日本ハムファイターズの本拠地であるエスコンフィールド北海道が本格的に稼働したこともあり、今後の乗降客数の大幅な上昇が期待されるため、最新の情報に注目していきたいと思います。

※データは国土交通省国土政策局(令和5年度)及びJR東日本発表資料を使用

 

②有名な都市駅

旭川 6,890人→向河原(JR東日本:第309位) 7,062人

苫小牧 5,982人→東青梅(JR東日本:第324位) 6,002人

函館 3,676人→北上(JR東日本:第397位) 3,668人

東室蘭 2,954人→下館(JR東日本:第422位) 3,668人

帯広 1,764人→藤野(JR東日本:第507位)1,759人

釧路 1,166人→野崎(JR東日本:第562位)1,167人

網走 536人→八郎潟(JR東日本:第676位)539人

 

北海道と聞いて思い浮かぶ駅の乗降客数は以上の通りです。比較的利用者の多い旭川や苫小牧でも5、6千人台となっており、観光地として有名な函館に至っては3千人台とさみしい数字になっています。

※データは国土交通省国土政策局(令和5年度)及びJR東日本発表資料を使用

まとめ

このようにJR北海道の各駅の利用者数は札幌駅の利用者は比較的多いものの、その他の駅は皆様の予想より少なく、特に関東にお住まいの方は駅の規模の大きさがイメージできたのではないでしょうか。

北海道は車社会であるがゆえに、人口の多い札幌圏でも駅の利用者はそれほど多くありません。

また、降雪量が多く低温地域を走行することから、除雪費用や車両の劣化が早いことによる修繕費用が多くかかることもJR北海道の財政を圧迫しています。

経営努力が足りないという批判の声もあるようですが、この数値を見ていただければ、経営努力だけで解決できる問題ではないことは一目瞭然です。

JR北海道は運賃の値上げを実施することを発表していますが、各駅の利用者数を他地域と比較するとやむを得ないと思わざるを得ないのが実情です。

この先の道内の鉄路はどのような未来へと進むのか、注目していきたいと思います。

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青春18きっぷの変遷と展望

2024年10月24日にJRより、青春18きっぷをリニューアルすると発表されました。

そのリニューアルについて様々な反応があることから、リニューアル前後の変化についてまとめてみたいと思います。

リニューアル後の青春18きっぷのデザイン ※画像:JR東日本

1.青春18きっぷの歴史

同切符の前身である、「青春18のびのびきっぷ」は国鉄が運賃増収策の一環として企画し、1982年から発売した切符になります。その翌年から、現在の名称である「青春18きっぷ」へ改称されました。

発売当初は8,000円でしたが、以降何度かの値上げの末に、現在の12,050円となっています。主に学生向けとして発売されたものですが年齢制限はなく、小児運賃の設定はありません。

同切符は学生などの長期休暇の期間に合わせて利用期間が設定されて発売されており、原則として特急(新幹線を含む)・急行を除く旅客鉄道会社全線の普通列車など、運賃のみで乗車できる列車に乗車することができます。

2024年の夏季分まではグリーン券を購入すれば普通列車や快速列車のグリーン車に乗車することができましたが、今回のリニューアル後は利用不可となります(グリーン車に乗車する場合は別途乗車券も必要になります)。

2.今回のリニューアルによる変化

第三セクター化された路線が増加した際など、発売時に細かな利用条件などの変化があることも多い同切符ですが、今回の変化はいつも以上の変化となります。

よって今回は、同リニューアルによって考えられるメリット、デメリットを考察していきたいと思います。

 

〇メリット〇

①自動改札機対応となる

これまで青春18きっぷは利用開始駅にて入鋏印(利用日の日付が入ったスタンプ)を駅係員に押印してもらい入場するスタイルでした。また押印後の入出場時にも駅係員に切符の券面を提示して友人改札を利用する必要があったことから、改札窓口の混雑の原因となっておりました。

また利用開始駅が無人駅だった場合などは、乗車駅証明を発券するなどして、有人駅にて押印してもらうなどの対応が必要なケースも多々あり初めて利用する方にとってはルールが分かりにくいといった声もありました。

これらが、自動改札機対応となることで利便性向上につながると考えられます。

鉄道会社目線では、駅係員の対応件数が大幅に減少することから窓口の混雑緩和につながるメリットがあげられます。

 

②3日分の券が新たに発売される

リニューアル前は5日分利用できる券のみの発売でしたが、今回のリニューアル後は3日利用の券も発売されることから、利用日数に合わせて3日分か5日分を選択できるようになりました。3日分は10,000円での販売になることが発表されています。

 

③発売金額は据え置きである

近年は人件費などの高騰により値上げされることが多い世の中ですが、同切符は値上げすることなく利用できることは財布に優しいのではないでしょうか。

〇デメリット〇

①利用日が連続した日にちのみとなる

リニューアル前は利用可能期間であれば、連続した日にちでなくても好きな日程で利用することができました。

これがリニューアル後は連続した日付でしか使用できなくなることで、柔軟な利用方法ができなくなりました。また長期間の休暇が取れないと利用するメリットが低下するといった声があることから、社会人を中心に利用者数の減少が考えられます。

 

②複数人での利用が不可能となる

リニューアル前は複数人での旅行でも人数分の押印をしてもらうことで1枚の切符を利用することができました。

ただし今回の変更によって、その利用方法が困難となりました。

これは数日分使用した後の切符を転売することを防止する策の一環なのではないかと考えています。

青春18きっぷの利用方法・注意事項 特例区間などが多いのが特徴 ※画像:JR東日本

3.リニューアル後の展望と考察

今回のリニューアル後に考えられる最悪のシナリオは「利用者数減少により、同切符が廃止される」といったものではないかと考えています。

同切符は鉄道会社からしてみれば収益性の低い切符と言わざるを得ません。それゆえに今回のリニューアルによって、利用者減少の傾向が顕著となればいずれは廃止されることがあると考えています。

整備新幹線の新規・延伸開業やローカル線の廃止の影響で利用区間が減少するなど、発売当初からすると不便になってしまった同切符ですが、現在も学生や鉄道ファンなどを中心に根強い人気がある切符であることは間違いありません。

在来線に揺られながらのんびりと旅情を味わえる同切符が末永く愛されることを願いながら今後の動向に注視したいと思います。

中央快速線のグリーン車導入による変化

2024年10月13日(日)より、中央快速線グリーン車が導入開始となりました。

座席はリクライニングシートになっており、全席に電源コンセントなどが設置されているなど、快適な電車移動の際の心強い味方になりそうな予感です。
来年3月のダイヤ改正まではいわゆる「お試し期間」として、追加料金無しで乗車できるということもあり、連日大混雑となっていると話題となっています。

今回は中央快速線グリーン車導入についてみていきたいと思います。

2階建てのグリーン車が2両増結される ※画像:JR東日本

1.運行区間

グリーン車の運行区間としては中央快速線の高尾~東京間をはじめ、中央本線の高尾~大月間、相互直通運転を実施している青梅線の立川~青梅間も対象となっています。

一方で、長編成の乗り入れができない、青梅線の青梅~奥多摩間、五日市線の拝島~武蔵五日市間については対象外となります。

中央快速線グリーン車導入区間は広範囲にわたります ※画像:JR東日本

 

2.編成

グリーン車導入前の中央快速線は全編成が10両編成(6+4両の編成も一部あり)での運行となっていました。

ここに2両のグリーン車を増結する形となるため、2025年3月のダイヤ改正以降は全列車が12両編成となります。

相互直通運転を行っている青梅線では線内完結の一部列車に6両、4両の編成が使用されています。

グリーン車は4,5号車として増結され、12両編成となる(一部編成は8+4両) ※画像:JR東日本

これに伴い、グリーン車導入前から駅のホーム延伸工事や列車運行機器の移設などの工事が行われていました。

 

3.グリーン車料金

中央快速線グリーン車営業区間は100キロ以下となります。

そのため、適用される料金は50キロまでと100キロまでの2段階です。

JREポイントをSuicaグリーン券に交換する際は600ポイントで済むことから、かなりお得になります。

 

Suicaでグリーン券を購入すると通常料金よりも260円お得になる ※画像:JR東日本

4.グリーン車導入の影響について

グリーン車導入によって、1編成あたりの乗車定員が増加することから、混雑緩和に大きく寄与することが考えられます。

ただし、2025年のダイヤ改正後はグリーン車乗車には別途グリーン券の料金が必要となることから、単純に乗車定員増の恩恵が受けられるかは不透明ですが、通勤特急の特急はちおうじ、おうめ号が好評であることも鑑みると、利用需要は一定数あるのではないかと考えます。

しかし、グリーン車無料開放期間が一番混雑率低下に寄与することは明白なため、2025年3月のダイヤ改正以降の混雑率推移には注目していきたいと思います。