日本の鉄路について考える

日本の鉄道についての記事を中心に紹介します

時間帯別運賃の検討について

鉄道業界においてもコロナの影響は計り知れないものとなっています。

その影響を受け、JR東日本からは衝撃的なニュースが飛び込んできました。

 

1.時間帯別運賃の導入の検討

JR東日本の深沢祐二社長は7日の記者会見で、新型コロナウイルスの影響が長期化する可能性から「運賃の見直しの検討を進めている」と明らかにしました。その要因としては、3密(密閉、密集、密接)の緩和やテレワークや時差通勤といった働き方の変化に対応するため、時間帯によって運賃を変えるというものです。

 

これにより朝夕ラッシュの時間帯の値上げが行われることが予想されており、乗車券等の扱いがどのように変化するのか気になるところです。ICカードについては時間別で金額を変更するシステムを導入すれば対応が比較的簡単に行えると思いますが、切符の場合はどうでしょうか。私の予想ではいくつかの方法があると思っています。

①ラッシュ時追加料金切符の導入

現在の回数券のような形式でラッシュ時の加算運賃分専用の乗車券を発売する方式です。現状の改札機でも切符の2枚投入は可能ですので、実現性はあると思っています。

②切符の廃止

高齢者からの反発が大きいことが予想されるため、実現性があるかは分かりませんが、これが出来れば、IC乗車券への一本化が出来ることから鉄道会社のコスト削減にも繋がるので、今後の国内情勢から考えると検討されても不思議ではないと思います。

この場合はQRコード式の旅行専用、お得な切符などの発売を推進して、高輪ゲートウェイ駅に導入されている新型の改札機に順次置き換えていくことも出来そうです。

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高輪ゲートウェイ駅に設置されている改札機 従来のICカードタッチ部の他にQRコード読み取り部が新設されている

2.終電の繰り上げとダイヤの見直し

時差通勤やテレワーク等の増加により、利用が減っている終電の時間を繰り上げることについて深沢祐二社長は7日の記者会見で選択肢に挙げています。

これについては飲食店等も24時間営業をやめるなど、働き方改革が進んでいることもあり、賛否両論ではあると思いますが私は賛成です。

というのも首都圏の終電は25時台まであるなど、かなり遅い時間まで動いている印象です。もちろん、それに伴って鉄道従事員の方々の勤務時間も厳しいものとなっています。また終電から始発までの短い時間に保線などの作業を行っており、とてもタイトな状況です。これを改善することは、今後の日本社会の常識を大きく変化させるのに十分大きなきっかけとなり得ます。

現代はとても便利な反面、不規則な勤務を強いられる人々が多くいるのも現実です。これを見直すタイミングに差し掛かっているのかもしれません。

また、今回は言及されていませんでしたが、利用客の少ないローカル線などについても運賃の値上げや終電の繰り上げが検討される可能性があります。これは地方に限ったことではなく、東京を含め(特に東京西部)、全国的に起こり得るものであると危機感を覚えることも確かです。今後の動向に注目していきたいと思います。

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北陸新幹線運転再開に向けての動き

台風19号によって千曲川が氾濫し、北陸新幹線長野新幹線車両センターが浸水被害を受けました。

その影響で北陸新幹線は運休を余儀なくされていましたが、25日から全線で運転を再開することになりました。

今回は運転再開のダイヤなどについてみていきたいと思います。

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全車両の1/3にあたる車両が浸水被害を受けた ※画像:毎日新聞

北陸新幹線長野新幹線車両センターが浸水し、留置されていた新幹線車両10編成(120両)が水没し甚大な被害となりました。水没した車両は北陸新幹線全車両の1/3にあたり、再開時にはかなりの本数が運休になるのではないかとされていましたが、23日の発表によると通常ダイヤの9割程度の本数が確保される見通しです。

 

①かがやき(東京~金沢 速達タイプ)

上り下り1本ずつが運休するものの、それ以外は運行予定となっており計18本が運行予定です。

 

はくたか(東京~金沢 純速達タイプ)

当列車は運行本数が維持され上り下りの計28本が運行予定です。

東京~長野間の各駅停車タイプの「あさま」が減便となる影響で、通常は停車しない安中榛名駅佐久平駅に一部の列車が停車します。

 

③あさま(東京~長野間 各駅停車タイプ)

上り5本、下り6本の計11本が運休となる予定です。その為、あさましか停車しない駅では他の列車が臨時停車する措置が取られる予定です。

 

④つるぎ(金沢~富山 シャトル便タイプ)

当列車は1本が運休となる為、運行本数は35本となる予定です。

 

⑤とき・たにがわ(上越新幹線

上越新幹線の「とき」は一部の列車が本庄早稲田駅に臨時停車することであさまの減便に対応します。

また、「たにがわ」を利維持列車として運行し運行本数を確保します。

 

他の新幹線車両を使用すれば一見解決しそうですが、北陸新幹線は他の新幹線と大きく異なる点が二つあります。

・電力の周波数が区間によって50,60Hzと切り替わる為、両周波数対応である

碓氷峠付近の急こう配に対応したブレーキ設備(車でいうところのエンジンブレーキのようなもの)がある

この二点がある為に他の新幹線車両を使用することが出来ず減便を余儀なくされています。

 

それでも通常ダイヤの9割の本数を確保して運行できるということがすごいことであると思います。

台風19号による首都圏鉄道への被害のまとめ(改訂版)

過去に類を見ない程、勢力を維持したまま首都圏を直撃した台風19号、この台風によって首都圏や周辺地域に甚大な被害をもたらしました。

また時間が経つにつれて新たな被害や影響が確認されています。今回は19日現在の状況をまとめていきたいと思います。

北陸新幹線車両水没

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水没した北陸新幹線用の車両 復旧にはかなりの時間を要する ※画像:毎日新聞

台風接近により大雨が降ったことで千曲川が氾濫しました。この影響で北陸新幹線長野新幹線車両センターが浸水被害を受け、同センターに留置されていた新幹線車両10編成(120両)が水没し甚大な被害となっています。

水没した車両は北陸新幹線全車両の1/3にあたり、今後の運行に大きな影響が出ることは確実で、車両の復旧及び新造が完了するまでは減便は間違いないでしょう。

※19日現在では東京~長野間、金沢~上越妙高間で運行再開しています。通常よりも本数が少ないため利用には注意が必要です。首都圏から北陸地方へ鉄道で移動するには米原経由で東海道新幹線の利用が必要す。25日から臨時ダイヤでの運行が予定されています(本数はかなり少ない)。

 

中央本線(四方津~梁川間)土砂流入

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大量の土砂が流入しており、トンネルも塞がっている ※画像:JR東日本

台風による大雨の影響で四方津~梁川間の線路内に大量の土砂が流入し、高尾~大月間で甚大な被害を受けました。並行する国道20号線中央自動車道も通行止めになったことで東京と山梨間の移動が困難になり大きな影響をもたらしました。

※19日現在、高尾~大月間も運転再開しました。高尾~相模湖間は単線(下り線のみ使用)での運転でシャトル便(高尾~相模湖を往復)の運行となっており、所要時間は25分程度かかっています(通常時は10分程度)。本数は通常よりも少なく、高尾~相模湖間については1時間に1本程度の運行となっています。相模湖から下り方面は当駅で折り返し運転をしており、一部は大月から先の甲府方面へも直通運転を行っているようです。ただし特急列車は10月末頃まで運休となります。

中央道も通行可能となっており、以前よりも東京~山梨間の移動がしやすくなりましたが、道路は混雑が激しいようです。

高尾、相模湖駅の臨時時刻表は下記のホームページをご覧ください。現時点では21日以降のダイヤまで掲載されています。

JR 東日本八王子支社ホームページ:(https://www.jreast.co.jp/hachioji/

 

箱根登山鉄道 全線長期運休

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線路が土砂に押し流された現場 ※画像:Japan-railway

台風の大雨による影響で土砂崩れが発生しました。宮ノ下~小涌谷間では土砂により線路が25mのわたって押し流されるなど甚大な被害となっています。そのほかの場所でも線路が石などで埋まったり線路設備の破損が多くあり再開の見通しは立っていません

箱根はこれから紅葉の季節を迎え、観光シーズンになるだけに影響の大きさは図り知ることができません。

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元々の線形が分からないほどに破損した線路設備 ※画像:箱根登山鉄道

両毛線橋台流出(大平下―栃木間)

両毛線は、大平下―栃木間にある永野川橋梁で橋台背面が流出する被害が出ました。この影響で岩船―栃木間は再開まで1カ月程度かかる見込みです。

 

水郡線橋桁流出(袋田―常陸大子

水郡線は、袋田―常陸大子間にある第六久慈川橋梁の橋桁が流出する被害が出ました。このほかにも西金―上小川間で橋梁の傾き、磐城浅川―里白石間では橋梁の流出が発生しました。

この影響で水郡線常陸大宮~郡山駅間で運転を見合わせています。常陸大子~郡山間は1か月程度の運休、被害が甚大であった常陸大宮~常陸大子間の再開の見通しは立っていません

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橋脚の流出等が発生した水郡線 ※画像:JR東日本

 ⑤小海線 鉄橋破損等

小海線は、滑津北中込間で鉄橋の一部が損壊するなどの被害が発生しています。この影響で小海線小諸~野辺山間で、当面の間運転見合わせとなる予定です。

 

※お出かけの際は最新の情報をご確認ください。

台風19号による首都圏鉄道への被害のまとめ

過去に類を見ない程、勢力を維持したまま首都圏を直撃した台風19号、この台風によって首都圏や周辺地域に甚大な被害をもたらしました。

今回は鉄道へもたらした主な被害をピックアップしていきたいと思います。

北陸新幹線車両水没

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水没した北陸新幹線用の車両 復旧にはかなりの時間を要する ※画像:毎日新聞

台風接近により大雨が降ったことで千曲川が氾濫しました。この影響で北陸新幹線長野新幹線車両センターが浸水被害を受けました。その上同センターに留置されていた新幹線車両10編成(120両)が水没し甚大な被害となっています。水没した車両は北陸新幹線全車両の1/3にあたり、今後の運行に大きな影響が出ることは間違いないと思われます。また北陸新幹線用の車両は50,60Hz両方に対応できる車両を使用している為、他の新幹線車両を流用することが難しい為、長期的に減便や運休が続く恐れがあります。

※14日現在では東京~長野間の運転を再開し(本数減少)、金沢~糸魚川間では臨時の「はくたか」を運行しています。通常よりも本数が少ないため利用には注意が必要です。その為、米原経由で東海道新幹線の利用が推奨されています。

 

中央本線(四方津~梁川間)土砂流入

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大量の土砂が流入しており、トンネルも塞がっている ※画像:JR東日本

台風による大雨の影響で四方津~梁川間の線路内に大量の土砂が流入し、高尾~上諏訪間で運休となりました。並行する国道20号線中央自動車道も通行止めになったことで東京と山梨間の移動が困難になっています。これにより特急「あずさ」、「かいじ」が運休となっています。

※14日現在では大月~甲府間では14日夕方頃に運転再開を見込んでいます。しかし土砂流入の被害が大きい高尾~大月間は当面の間運休するとアナウンスされています。かなりの量の土砂が流入しており、同様の被害が何箇所でも発生している為、復旧にはかなりの日数がかかると推定されます。

※15日現在、高尾~大月間の運転再開は18日を予定しているようです。高尾~相模湖間は単線での運転でシャトル便(高尾~相模湖を往復)の運行を計画しています。本数は通常よりも少なく、高尾~相模湖間については1時間に1本程度の運行になるようです。ただし特急列車は当面の間運休するようです。

 

武蔵小杉駅冠水

台風による大雨の影響で多摩川が氾濫、越水した影響で下水があふれ、武蔵小杉駅周辺では冠水被害が発生しました。特に影響が大きかったのがJR横須賀線側の新南改札口周辺で、改札が浸水したため営業不能になりました。

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改札機まで浸水したJR武蔵小杉駅新南改札口 当面の間は使用できそうにない ※画像:JR東日本

これにより横須賀線武蔵小杉駅通過扱いで運転を再開する事態となりました(13日)。

※14日現在では新南改札口の使用を中止してはいるものの横須賀線の同駅停車は再開されました。しかし新南改札口とJR南武線側のJR北口改札はかなり離れた場所に位置するしばらくの間は不便な生活を強いられると思われます。

 

京王高尾線動物園線 線路内土砂流入

台風による大雨の影響で線路内に大量の土砂が流入し、京王高尾線京王動物園線の全線で運休となりました。その為、京王高尾線直通の列車は途中の北野や高幡不動止まりとなり運転を行っています。

※14日現在では京王高尾線の運転再開に向けて作業が進められており、14日中の運転再開を目指しています。京王動物園線については被害が大きく作業が困難であるため当面の間は運休が続くとされています。その為、多摩動物公園を利用予定の方は多摩都市モノレールの利用を推奨します。

※15日現在では京王高尾線は通常通り運転(14日に運転再開)しております。京王動物園線については16日中の運転再開を目標に復旧作業が進められています。

 

小田急線(渋沢~新松田間)土砂流入

台風による大雨の影響で渋沢~新松田間の線路内に大量の土砂が流入し、秦野~新松田間で運休となりました。これにより特急ロマンスカーも全区間で運休となっています。

※14日現在では土砂流入の被害が大きく作業が困難であるため当面の間は運休が続くとされています。新宿から小田原方面へはJR線の利用及び小田急江ノ島線経由での利用が推奨されています。

※15日現在では全線で運転を再開しており、16日からは特急ロマンスカーも運行を再開するとのことです。

 

19日現在の情報は以下のページをご参照下さい。

southsnows.hatenablog.com

台風19号接近による「計画運休」路線情報

観測史上最強の台風19号が12日から13日にかけて関東地方に大きな影響をもたらす可能性が高まっています。これにより、新幹線、在来線、私鉄の各線では計画運休の実施が発表されています。

特に首都圏の鉄道は地下鉄の地下区間を除いたほとんどの路線での運休が決定しており、事実上鉄道の利用は不可能になると推定されます。

今回は各新幹線と首都圏の在来線の計画運休情報をまとめてみました。

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先月の台風15号接近時よりも警戒が強まっており、計画運休は広範囲かつ長時間にわたることが推測される

~新幹線~

東海道新幹線・・・12日朝から「計画運休」を実施すると発表。東京~名古屋間は始発から終日運休が決定。

 

山陽新幹線・・・12日午前から「計画運休」を実施すると発表(新大阪~岡山間)

 

東北・山形・秋田・北陸・上越新幹線・・・12日午前11時以降に出発する列車から本数を減らして運転し、その後は順次「計画運休」すると決定。

 

~在来線~

JR

終日運休

湘南新宿ライン上野東京ライン(上野~東京間)、御殿場線東海道本線静岡県内)、首都圏を走る特急列車多数

 

12午前9~運休

伊東線

 

12午前10~運休

東海道線横須賀線京葉線、相模線、東金線鹿島線中央本線(高尾~小淵沢間)、総武本線(佐倉~銚子間)、成田線(我孫子~成田間・成田~銚子間)、内房線(君津~安房鴨川間)、外房線(上総一ノ宮~安房鴨川間)

 

12午前11~運休

横浜線八高線青梅線(青梅~奥多摩間)

 

12正午~運休

京浜東北根岸線、中央線快速線中央・総武緩行線総武快速線埼京線川越線宇都宮線高崎線武蔵野線常磐線常磐線各駅停車烏山線吾妻線総武本線成田線(千葉~成田空港間)、青梅線(立川~青梅間)、内房線(千葉~君津間)、外房線(千葉~上総一ノ宮間)

 

12午後1~運休

山手線、南武線鶴見線五日市線両毛線上越線信越線、水戸線水郡線日光線

 

東京メトロ

12午後1時頃~運休

地上走行区間を中心に計画運休を実施(下記区間を除いた折り返し運転を実施予定)。13日午前中まで運転を見合わせる可能性がある。上記時間帯に運転を取りやめるのは以下の路線、区間である。

 

丸の内線:(茗荷谷~銀座間)

日比谷線:(北千住~南千住間)

東西線:(東陽町西船橋間)

千代田線:(北千住~北綾瀬間)※特急ロマンスカーメトロはこね」「メトロえのしま」「メトロホームウェイ」は終日運休

有楽町線:(和光市地下鉄成増間・豊洲~新木場間)

副都心線:(和光市地下鉄成増間)

 

東急電鉄

12午前11時頃~運休

東横線目黒線田園都市線大井町線・池上線・東急多摩川線世田谷線こどもの国線の全線で午前9時以降運転本数を減らし、その後は全線で計画運休の見込み。

 

京王電鉄

12午後2時頃~運休

京王線京王井の頭線の全線で正午以降運行本数を減らし、その後は全線で計画運休の見込み。

 

小田急電鉄

12正午~運休

多摩線小田原線江ノ島線などで午前9時以降運行本数を減らしその後は13日午前中の点検が終了するまで計画運休の見込み。

 

東武鉄道

12午後1時頃~運休

全線で午前11時以降運行本数を減らしその後は全線で計画運休の見込み。

 

西武鉄道

12午後2時頃~運休

全線で午後1時以降運行本数を減らしその後は全線で計画運休の見込み。

 

東京都交通局(都営地下鉄など)】

12午後2時頃~運休

東京都交通局では都営地下鉄の地下走行区間などの計画運休を実施。上記時間帯に運転を取りやめるのは以下の路線、区間である。

都営三田線:(本蓮沼~西高島平間)

都営新宿線:(大島駅本八幡間)

日暮里・舎人ライナー:全線

東京さくらトラム(都電荒川線):全線

 

東京モノレール

12午後4時頃~運休

 

りんかい線

12正午~運休

 

つくばエクスプレス

12午後1時頃~運休

 

相模鉄道

12午前11時頃~運休

全線で午前10時以降運行本数を減らしその後は全線で計画運休の見込み。

 

多摩モノレール

12午前11時頃~運休

 

箱根登山鉄道

12午前10時頃~運休

12日の計画運休における注意点は以下の通りです。

・計画運休では振替輸送は使用できない

・所要時間の大幅な増大

・途中駅での運転打切り及び運転再開不能

・一部駅での過剰な混雑

12,13日は不要不急の外出は避け、屋内で安静にしているのがベストだと思います。

仕事も休める場合は無理せず休む外出予定はなるべくキャンセルするといった決断が必要です。

またホテルによっては台風等によるキャンセルにはキャンセル料がかからないケースも多くあります。早めにホテルへ連絡をして予定を変更することもオススメします。

首都圏路線の混雑率ランキング

今年の7月に2018年度の路線別混雑率の調査結果が発表されました(国土交通省)。今回はこの結果を踏まえながら、首都圏の路線の混雑具合を見ていきたいと思います。

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混雑率が最も高い東西線 混雑率は200%に迫る勢いである ※画像:Wikipedia

首都圏鉄道路線混雑率ランキング ワースト10

1位 東京メトロ東西線(木場→門前仲町) 199%(±0%)

1位には前年に引き続き同路線、同区間がランクインしました。同路線は以前から混雑が激しく、南砂町駅のホーム新設や折り返し設備の拡充に向けた工事が行われていますが工事完了までには5年以上かかる見込みでそれまでの間は劇的な改善は難しいと思われます。

2位 JR横須賀線(武蔵小杉→西大井) 197%(+1%)

2位には近年目覚ましい発展を遂げている武蔵小杉駅周辺の区間がランクインしました。同区間武蔵小杉駅の利用者の増加に伴って混雑率が上昇している区間の一つです。武蔵小杉駅では積み残しや改札に入れないほどの混雑となっているといった問題が発生しています。同駅もホーム新設に向けた工事が行われていますが完成までには時間がかかる見通しです。

3位 JR総武緩行線(錦糸町→両国) 196%(-1%)

3位には前年度2位にランクインしていた同区間がランクインしています。この区間は以前から混雑が激しい区間であり、総武快速線錦糸町から東京方面へ直通はしているものの秋葉原方面への需要も高く依然として高い混雑率となっています。この区間での劇的な混雑緩和はなかなか厳しいと思われます。

4位 JR東海道線(川崎→品川) 191%(+4%)

日中は行楽客で賑わう東海道線も朝夕のラッシュ時には通勤路線としての役割を果たしており、かなりの混雑となっています。最長15両編成の列車が3,4分間隔で走っていてもこの混雑率ですので需要の多さが想像できます。同路線は上野東京ラインとして宇都宮、高崎線方面への直通列車も設定されたため混雑率の上昇に拍車をかけているものと思われます。

5位 日暮里・舎人ライナー(赤土小学校前→西日暮里) 189%(+2%)

この路線は知る人ぞ知る混雑の激しい路線です。列車が5両編成と短いうえに通常の鉄道路線とは異なっている点も多く車両が小さくなっています。そういった背景もあり混雑率の高い路線にランクインしています。列車の長編成化には設備の大規模な改良が必要となる為混雑解消には大きな問題が多い路線です。

6位 JR京浜東北線(大井町→品川) 185%(-1%)

区間は山手線に接続する品川駅へ向かう旅客が多く利用する区間でありそれ故に混雑が激しい区間となっています。りんかい線JR東日本の路線になり、新木場方面への旅客がそちらに流れれば混雑緩和が見込めると思われますが、りんかい線のJR路線化にはしばらく時間がかかるのでそれまでは混雑率は高いままであると考えられます。

7位 JR南武線(武蔵中原→武蔵小杉) 184%(-5%)

区間武蔵小杉駅に隣接した区間で昨年度はワースト3にランクインしていました。同路線も6両編成の列車が使用されている関係で混雑率が高い路線の一つです。最近では川崎市職員の通勤時間をずらすなどの対策によって多少の混雑率の低下が見られています。それでも2分間隔で走っている時間帯もかなりの混雑を見せており、今後の武蔵小杉駅周辺の発展具合によっては更なる混雑悪化も十分にあり得ると思います。

8位 JR埼京線(板橋→池袋) 183%(-2%)

並走路線の多い埼京線ですが、この区間は並走している路線がなく同路線への利用が集中します。また池袋駅ターミナル駅であるため多くの路線に接続しており、同駅までの利用の流れは大きいものとなっています。相鉄線との直通運転が開始される同路線が今後どのような変化を遂げていくのかが楽しみです。

9位 JR中央快速線(中野→新宿) 182%(-2%)

9位には当ブログでも取り上げている中央快速線がランクインです。同区間は副都心新宿へ向かう多くの通勤通学利用がある区間です。あれだけの朝ラッシュ対策がされている当路線でもワースト10に入ってしまうだけの需要があるのだと改めて実感します。

中央快速線の朝ラッシュ対策の秘密 - 日本の鉄路について考える

9位 東急田園都市線(池尻大橋→渋谷) 182%(-2%)

同率9位には東急田園都市線がランクインしました。同区間は地下区間であり複々線化が難しく輸送力の増強が困難な区間です。またターミナル駅である渋谷駅は1面2線でホーム幅も狭く需要に対応できていないのが現状です。それでも混雑率が減少しているのは、大井町線の急行列車に力を入れており、大井町線へ旅客を誘導し混雑の分散を図っているので、この成果が表れたものと思われます。

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混雑率の体感 ※画像:国土交通省

このように混雑率の目安がありますが、実際にはこれ以上の圧迫感を感じている方が多いのではないでしょうか。特にドア付近や階段などに近く乗り換えに便利な車両は相対的に混雑がひどくなる傾向にあります。

今後は人口減少の社会になっていくこともあり、ハード面での対策は行いにくくなっていく一方だと思います。時差ビズ通勤や自宅勤務といった新たなワークスタイルの普及が今後のカギを握っていると思います。

富山ライトレールが成功した訳

JR西日本の路線の一つであった富山港線が廃止され、その跡地に富山ライトレールが開業しました。開業前は経営が上手くいくのか懐疑的な意見も聞かれましたが、その予想とは裏腹に順調な経営状態を維持しています。

今回は富山ライトレールが成功した訳を紐解いていきたいと思います。

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路面電車型の車両が走る富山ライトレール ※画像:Wikipedia

富山港線の廃止

山口駅岩瀬浜駅を結び、富山市中心部や沿線の工場や学校への通勤通学利用が多かった当路線は、朝夕の利用者は一定数あったものの、日中の時間帯は利用者数が低迷している状態でした。

そこで、朝夕は電車、日中はレールバスで運行をするなど、日中の運行コストを下げる対策が取られていました。

そして運行本数は朝夕は30分間隔で運転されていたものの、それ以外の時間帯は概ね1時間に1本程度で、一番間隔が空く時間帯では2時間程度も列車が来ない状況でした。

これでは日中の利用者を見込めるはずもなく、2006年3月に廃止となりました。

 

富山ライトレールの開業

富山港線が廃止されて約1か月後の2006年4月29日から富山ライトレールの運行が開始されました。

路線が富山ライトレールに移管されてから起点駅は富山駅北駅に変更され、一部路線のルートが変更されたものの、岩瀬浜方面の路線は富山港線時代と大きな変化はありません。

それでも富山ライトレールの利用者数が大きく飛躍したのにはいくつかの理由が挙げられます。

 ・運行頻度が高くなった

・駅数が増えて小回りが利くようになった

岩瀬浜から先の末端区間とを結ぶバスの運行

一番の大きな理由は運行本数増加による利便性の向上です。富山港線時代は1時間に1本程度しか列車がなく、気軽に利用できる状況ではありませんでしたが、ライトレールは約10分間隔で運行されています。これだけの本数があれば心理的にも気軽に利用できるラインになったといえます。さらに終電時刻が大幅に繰り下げられたのも特徴です。富山港線時代21時台に終電が出ていましたが、ライトレールでは23時台まで運行が確保されています。こういった運行頻度終電時刻の繰り下げにより気軽に利用しやすい路線となり、利用機会が大きく向上したことが利用者の獲得につながったといえます。

そして次にあげられる理由は駅数の増加です。富山港線時代は電車が走る路線であった為に駅数が限られていましたが、ライトレールでは路面電車が走行していることで小回りがきき、駅数を増やすことが出来ました。これにより以前よりも細かなニーズに応えることができるようになり、特に高齢者の足としても活躍するようになりました。

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新駅の命名権を販売するなど地域に親しみやすい路線になった一因であるだろう ※画像:Wikipedia

最後はバスとの共栄です。富山港線時代は富山港線と並行するバス路線が運行されており、バスとは競争関係にありました。しかしライトレールに転換された際に、競合するバス路線の運行取りやめと岩瀬浜駅から先の末端区間へのバス路線の新設により共栄関係になりました。これにより、利用客の取り合いがなくなり、更にライトレールの路線より先の地域の住民の利用機会創出に路線バスが一役買っています。それが設備として表れているのが岩瀬浜駅です。この駅はライトレールのホームのすぐ横に路線バスの停留場が設けられており、両者の乗り継ぎがしやすいよう考慮されたつくりとなっています。

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バスと対面乗り換えが出来る構造になっているライトレール ※画像:Wikipedia

このように車社会が進んだ地方都市においても路面電車として運行することで路線の維持が可能であるということがライトレールによって証明されました。

ライトレールをはじめとする路面電車のメリットは運行経費が電車に比べて安く、小回りが利くことです。このメリットを活かしつつ、地方都市のコンパクトシティ化などと並行して事業化すれば地方都市の利便性の確保にもつながります。実際他の都市でも導入を検討しているケースがあるようです。

少子高齢化社会となり国内人口が減少している現在だからこそ、こういった転換も必要になってくるケースがあると思います。富山ライトレールのように地域に定着する新たな路線のケースとして今後も期待したいと思います。