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千葉県の利便性損なわれる?JR東日本のダイヤ変更問題

昨日、JR東日本千葉支社より京葉線のダイヤを2024年9月1日より変更すると発表がありました。

これは2024年3月のダイヤ改正で平日の朝と夕方以降の通勤快速と快速計33本を各駅停車に変更しましたが、千葉県や沿線自治体などが東京への利便性が損なわれるなどとして反発していたことを受けての発表であると考えられます。

JR東日本ダイヤ改正は例年3月に1度行われるのが通常で、今回の発表は異例中の異例といえるでしょう。

今回は9月1日からのダイヤ形態を掘り下げていくと同時に、なぜこのような事態になってしまったのか整理していきたいと思います。

事態の経緯

①2024年3月のダイヤ改正では快速・通勤快速廃止が発表された

JR東日本千葉支社が2023年12月に発表したダイヤ改正資料では、

「日中帯(10〜15時台)を除き、東京〜蘇我駅間はすべての通勤快速および快速を各駅停車に変更します。これにより、朝・夕夜間帯に外房線内房線と直通するすべての快速も各駅停車に変更となります」

と衝撃的な文言が記載されていました。

 

ここでダイヤ改正前の蘇我駅の平日朝ラッシュにおける上り列車の内訳を見ると、

午前6時台は計10本のうち特急2本と快速2本、7時台は13本のうち特急1本と通勤快速2本、8時台は11本のうち特急2本と快速1本、9時台は7本のうち特急1本と快速2本という構成でダイヤが組まれていました。

すなわちこの時間帯の通勤快速2本、快速5本の計7本がすべて各駅停車になるということを意味していました。

 

この発表を受けて沿線自治体や住民の反発を招くこととなり、JR東日本の千葉支社の土沢壇支社長が千葉市長へ説明に訪れる事態にまで発展することとなりました。

あまりに反響の大きさに、JR東日本側は2024年1月16日にダイヤ改正の一部変更を発表し、朝の上り東京行きの快速2本だけは残ることとなりましたが、通勤快速は廃止されることが決定的となりました。

とはいえ、ダイヤ改正実施前に沿線自治体や住民の反発を受けてダイヤ見直しをしたことも異例であり、とても注目を集めることとなりました。

 

2023年3月18日ダイヤ改正時の停車駅 通勤快速の速達性が分かります ※出典:Wikipedia

②2024年3月のダイヤ改正実施

その後、2024年3月16日にダイヤ改正が予定通り実施されました。快速列車は先述の通り2本残存したものの、通勤快速廃止の影響は大きく、特に内房線外房線沿線の利用者を中心に、「所要時間増加による通勤時間の増加や乗車する電車を早めざるを得なくなった」といった悪影響が出ていました。

 

ただ、各駅停車しか停車しなかった駅を利用する乗客にとっては、利用機会の拡充がされたために、好意的な意見も聞かれました。

 

③2024年9月1日より再度ダイヤ改正すると発表

そして昨日の5月30日に2024年9月1日より再度ダイヤ改正すると発表がありました。

この改正では以下の電車が快速として運転されるとされています。

2024年9月1日より快速に格上げとなる電車の時刻表 ※JR東日本発表資料

通勤快速より速達性は劣るものの、現行より所要時間短縮が見込まれます ※JR東日本発表資料

上記のとおり、通勤快速より停車駅が多いことあって速達性は通勤快速ほどではないものの、現行の各駅停車と比べると所要時間が短縮される見込みです。

これにより、特に遠方である内房線外房線沿線利用者を中心に利便性の改善がなされれるでしょう。

快速の本数が増加しますが、2024年3月ダイヤ改正前と比較すると本数は減少しています ※JR東日本発表資料

京葉線は、蘇我駅から東京駅まで18駅あり、快速はそのうち9駅に停車します。

このダイヤ変更で蘇我―東京駅の所要時間は各駅停車と比べて最大10分短縮されるとしています。

 

この発表を受けて、沿線自治体からは賛否両論の意見が出ています。

 

千葉市:神谷市長

「必ずしも十分ではないが、1年を待たずに再改正していただいたことは一定の評価ができます。ただ、東京から帰宅する夕方や夜間の速達性や、多くのイベントが開催される幕張新都心への利便性と速達性の面では、まだ課題が残るため、さらなる改善に向けてJRとは定期的・継続的に協議を行っていきたいと思う」

 

習志野市:宮本市長

「各駅停車の本数を減らすという変更に唖然としており、容認できません。新習志野駅への停車は1日最大で12本無くなるため、このような犠牲が伴う結果は、千葉市をはじめ要望した自治体においても希望していないものと強く理解しています」

 

このように、各駅停車しか停まらない駅の利便性が約半年で低下することから、こういった否定的な意見も出ているようです。

一度改正で各駅停車を実質増発してしまった以上、当然の反応といえば当然かと思います。

今後は、公共交通機関の運行を担う立場であることも考慮して、JR東日本は沿線自治体と事前の打ち合わせなどを行うことで、今回のような事態に陥らないような丁寧な対応が求められると実感しました。