日本の鉄路について考える

日本の鉄道についての記事を中心に紹介します

中央ライナー・青梅ライナー廃止について思うこと

2019年3月のダイヤ改正により、平日の通勤時間帯に運行されていた中央ライナー」と「青梅ライナー」が廃止されました。その代わりに、特急「はちおうじ」と「おうめ」が新設され、事実上のライナーの特急化が行われました。

このライナーの特急化されたことによって起こった変化を見ていきたいと思います。

f:id:southsnows:20190903200746j:plain

新設された特急はちおうじ・おうめ この先、両列車はどんな道を歩むのだろうか

①料金体制

元々通勤ライナーは、通勤時間帯の着席保障に対するニーズに応える形で誕生しました。中央線にも中央ライナー青梅ライナーが運行されており、普通車指定席券はワンコイン(実際は510円)で、比較的気軽に乗ることのできるサラリーマンにとってありがたい存在の列車でした。

この両列車は特急「はちおうじ」、「おうめ」に置き換えられたことにより、特急料金が適用されることになりました。特急料金は営業キロが50kmまでが750円、100kmまでが1,000円で計算されます。

その結果、東京~立川、八王子、拝島まで利用する場合は実質240円の値上げ、東京~河辺、青梅までは50km以上に該当する為490円もの値上げとなってしまいました。

 

これにより今までライナーを定期的に利用してきた旅客からすると気軽に利用しにくい列車になってしまったのではないかと思います。

 

②運行区間、本数の見直し

今回は主に帰宅ラッシュ時間帯に運行される下り列車について見ていきたいと思います。

中央ライナーとして走っていた際は東京~高尾駅まで運行をしていましたが、特急はちおうじに置き換わってからは全列車が八王子止まりに短縮されてしまいました。利用客の多くが立川、八王子で下車するものの、高尾まで利用していた旅客も一定数いましたので、運行区間の短縮は残念に思います。ただし、八王子駅で前を走る高尾方面行の列車に乗り継ぎが出来るようなダイヤが組まれており、そこは評価できる点だと思います。

また運行本数はライナー時代は5本だったものが6本になり、1本増発された形ですので乗車チャンスの向上になっている点も評価できると思います。

 

青梅ライナーは東京~青梅駅まで運行をしており、立川駅を出ると青梅線へ直通する列車でした。特急おうめも行先は引き続き青梅駅区間は変更なく運転されています。

しかし、ライナー時代は運行本数が3本あったのが特急化後は1本と2本の減便となってしまいました。青梅ライナーの頃は乗車率も良かったので、特急化後料金が上がることで需要が減ると予測して減便に踏み切ったのではないかと思います。減便された分は通勤快速が増発されて青梅線方面へ直通しているので、減便分は通勤列車が充当している形ですが、快適さに関しては質が下がってしまったのは否めません。

 

③所要時間の変化

中央線は過密ダイヤで有名な路線で、ラッシュ時には2分に1本のペースで列車が運行されています。途中駅で追い越しが出来るとはいえ、それにも限りがあるので中々スピードは出ません。これはライナー時代も特急化後も変わりがありませんので、所要時間が短縮されないのに料金は上がるといった現象が起きています。

f:id:southsnows:20190903195955j:plain

特急おうめ・はちおうじの時刻表 ライナーと所要時間はほとんど変わらない ※画像:JR東日本

 ④指定席券の購入方法

ライナー時代は駅に設置されている自由席特急券券売機のみでライナー券を購入出来ましたが、今はネット予約が主流になっており、会社や自宅などであらかじめ購入したいという要望が高まっていました。その要望が、特急化によりネット予約の取り扱いがはじまったことでかなえられたので、指定席券の購入についてはサービスが向上したといえます。

このようにライナーの特急化にはユーザー目線でもメリット・デメリットがあります。

料金が高くなり、区間によっては減便されるといったデメリットが目につきやすいですが、今までは乗車駅でしか購入できなかった指定席券があらかじめ購入出来るといったメリットも存在します。

近年では並走して走る、西武線に「拝島ライナー」、京王線には「京王ライナー」が設定され、鉄道各社が着席保障列車の導入に力を入れています。料金や運行本数が各社毎に異なり、着席保障列車に対する勢力図が大きく変わる可能性もあると思います。また中央快速線は使用されているE233系グリーン車を導入し、12両編成化する準備も進められています。その事業によってこの先、特急はちおうじ、おうめがどのような変化をしていくのか注目です。

 

料金の値上げで利用客離れが懸念されている特急はちおうじ、おうめは東京駅から乗れるといったメリットもあります。今後は利用するユーザーがどの鉄道会社の着席保障列車を選択していくのか、その動向に注目していきたいと思います。