日本の鉄路について考える

日本の鉄道についての記事を中心に紹介します

江ノ電が多くの人を引き寄せる魅力とは

江ノ島電鉄が運行している江ノ電、鉄道ファンはもちろんのこと、全国的にも有名な路線です。江ノ電は神奈川県の藤沢駅鎌倉駅を結ぶ全長約10kmのとても短い路線ですが、休日や繁忙期になると多くの人が利用する路線です。

江ノ電がなぜここまで人々から愛されているのかを紐解いてきたいと思います。

 

江ノ電の歴史

江ノ電は1902年に藤沢~片瀬(現在の江ノ島駅)駅間が開業し、1910年には鎌倉駅まで延伸、全線開業しました。その後、東京横浜電鉄(現在の東急電鉄)の傘下に入ったのちに、小田急電鉄の関連会社になりました。そして2019年10月以降は小田急電鉄の完全子会社になる予定です。

今でこそ利用客数の多い江ノ電ですが、1960年代後半頃にはモータリゼーションが進んだことで利用者が低迷し廃線の危機にまで陥った路線でもあります。

 江ノ電の魅力

①都心からのアクセスが良い

東京駅から電車で1時間弱江ノ電の始発駅である藤沢、鎌倉駅まで行くことが出来るので、都心からのアクセスが良いことが挙げられます。

また、鎌倉駅に向かうJR横須賀線藤沢駅に向かうJR東海道本線共に本数が多く運行されているので利便性も確保されています。

 

②ローカル路線の雰囲気が感じられる

江ノ電は東京から1時間弱の近距離でありながら、全線が単線であり、列車は12分間隔で運転されています。行き違いが出来る駅や信号場の数が限られるため、行き違いが出来る箇所ではほとんど行き違いが行われています(すなわち設備をフル稼働しても12分間隔がやっとという感じ)。

また車両も最長4両編成で運行されており、路面電車のように車両の長さも短く可愛らしい車両が活躍しているのも特徴です。それでも途中駅の腰越駅ではホームの長さが3両分までしか対応しておらず、通称「ドアカット」なるものが行われます。

車両によっては1956年から使用されているものもあり、昭和の雰囲気を伝える路線でもあります。このレトロな車両を見てファンになる方も少なくないようです。

路線は民家の間をすり抜けるように走っているなどカーブが多く、行き違いのための停車時間もある関係で、わずか10kmの路線を30分以上かけてゆっくりと走行します。このゆったりとした走りも日々の忙しさや喧騒を忘れさせてくれます。

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昭和の時代から江ノ電を支え続けている「300系」 ※画像:江ノ島電鉄株式会社

 ③沿線に観光スポットが多い

江ノ電の沿線には大仏様で有名な高徳院長谷寺極楽寺といった寺院江ノ島江ノ島水族館をはじめとする江ノ島周辺エリア由比ヶ浜などの海水浴場など幅広い年齢層に合った観光名所が数多く点在しています。また江ノ電の駅や駅間が観光スポットになっている場所もあり、それを目的に訪れる人もいるほどです。

江ノ電はこういった観光名所をカバーしながら走行しており、他に競合する路線が殆どなく(江ノ島には小田急江ノ島線湘南モノレールが乗り入れてはいるが)、そういった観光需要に対応できる路線です。

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江ノ島などの観光地を結ぶ全長約10kmの短い路線である ※画像:Wikipedia

 ④車窓や沿線の景色が綺麗

江ノ電は民家の間をグネグネと走行する区間があったり、寺院のすぐ脇を走行したり、相模湾のすぐそばを走行したり、区間によって様々な顔を見せてくれる路線です。

近年では梅雨の季節になると綺麗な紫陽花を見ることが出来る寺院が人気を集めており、江ノ電と紫陽花が一緒に撮影できるポイントは賑わいを見せています。

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江ノ電の線路脇に咲く紫陽花と江ノ電の車両のコントラストが綺麗 ※画像:トラベルナビタイム

また相模湾のすぐを走る区間にある「鎌倉高校前駅」からはとても綺麗なオーシャンビューを見ることができ、駅の近くにある「鎌倉高校前踏切」は人気漫画のスラムダンクのモデルとなった有名な踏切となっており、外国人観光客を含め連日のように大賑わいとなっています。

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鎌倉高校前踏切の様子 平日でもこの混雑具合

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鎌倉高校前駅に停車中の江ノ電 その奥にはオーシャンビューが広がる

また、江ノ電には路面電車のように道路を走行する区間(江ノ島駅腰越駅間)があり、この区間も有名な場所の一つです。

江ノ島観光に行った際は是非先頭車からその風景を楽しんでいただければと思います。

 

このように江ノ電の沿線には人を引き寄せる観光スポットや綺麗な景色があり、それに加えて江ノ電の車両や駅、沿線風景自体も大きな観光資源の一つになっています。

目まぐるしく日々変化していく現代社会において、非日常感を与えてくれる江ノ電。その雰囲気に多くの人が惹かれているのだと筆者は思います。

 

最後に・・・江ノ電を満喫するには

江ノ電初乗り運賃が190円(大人)と比較的高めの設定なので、江ノ島観光をされる方には江ノ電1日乗車券である「のりおりくんのご利用をオススメします。

こちらは一日江ノ電が乗り放題のお得な切符になっており、1枚600円(大人)で発売されています。すなわち江ノ電に3回乗車するとほとんど元が取れる値段設定になっており、観光の足として役立つことは間違いありません。切符は駅の券売機で購入することが可能で、SuicaPASMOといったICカードのチャージ分から購入することもできます。