経営危機が報道されているJR北海道。JR北海道が発表した営業係数が全路線で100を超えていることに多くの人が衝撃を受けました。すなわち、JR北海道のドル箱路線と言われている札幌~新千歳空港駅間も赤字経営であるということが判明したのです。
今回はJR北海道各駅の1日あたりの乗降客数を関東の路線に当てはめるとどういった結果になるのか数字から追っていきたいと思います。
①乗降客数上位20位以内の駅(データは2017年度)
まずはトップ5の駅を比較してみましょう。
1位:札幌 198,872人→大船(JR東日本) 198,278人
2位:新千歳空港 34,192人→小作(JR東日本) 34,134人
4位:新札幌 29,198人→井土ヶ谷(京急) 29,115人
5位:琴似 23,384人→北野(京王) 23,011人
以上の駅がランクインをしました。やはり、200万人都市「札幌」の中心である札幌駅の利用は飛びぬけて多いものの、それでも首都圏でいうと大船駅と同規模であるので、200万人都市としては寂しい数字であると思います。2位以降も札幌圏の駅がランクインしていますが、数字は一気に下がり、2位の新千歳空港駅でさえも首都圏で当てはめると東京都西部を走る青梅線の小作駅と同じくらいの利用者数になります。
運行本数の違いがあるものの、この時点ですでにJR北海道の運営が厳しいことが両者を比較することでお分かりいただけるのではないでしょうか。
続いて6位~20位を見ていきましょう。
6位:桑園 20,964人→西国立(JR東日本) 20,706人
7位:小樽 18,796人→YRP野比(京急) 18,937人
8位:千歳 17,874人→めじろ台(京王) 17,804人
9位:白石 16,364人→南古谷(JR東日本) 16,532人
10位:北広島 15,400人→立川南(多摩モノレール) 15,884人
11位:恵庭 14,668人→北鴻巣(JR東日本) 14,746人
12位:大麻 14,230人→厚木(JR東日本) 14,464人
13位:野幌 13,118人→久里浜(JR東日本) 13,368人
14位:星置 12,340人→県立大学(京急) 12,450人
15位:旭川 10,666人→那須塩原(JR東日本) 10,376人
16位:岩見沢 9,588人→東秋留(JR東日本) 9,598人
17位:稲積公園 9,514人→馬堀海岸(京急) 9,406人
18位:発寒 9,096人→武蔵五日市(JR東日本) 8,854人
19位:発寒中央 8,660人→東金(JR東日本) 8578人
20位:苗穂 8,466人→青梅街道(西武) 8,335人
6位まではかろうじて1日あたりの乗降客数2万人を超えていましたが、7位以降は1万人台になります。そして特急列車が走っており北海道でも有数の大きな都市である旭川でさえもぎりぎり1万人を超えている程度です。
20位までくると8千人台にまで下がり、関東でいうとかなりローカルな駅といったイメージになる駅と同じくらいの数字になります。
②有名な都市駅(データは2017年度)
函館 6,190人→氏家(JR東日本) 6,250人
釧路 2,192人→柴崎体育館(多摩モノレール) 2,200人
苫小牧 7,354人→西武秩父(西武) 7,418人
網走 676人→吾野(西武) 676人
東室蘭 3,880人→大塚・帝京大学(多摩モノレール) 3,863人
帯広 3,514人→桜街道(多摩モノレール) 3,586人
北海道と聞いて思い浮かぶ駅の乗降客数は以上の通りです。比較的利用者の多い函館や苫小牧でも6千~7千人台となっており、稚内や根室に関しては関東でいうと山岳地帯の路線の小さな駅と同じ位の数値です。
まとめ
このようにJR北海道の各駅の利用者数は札幌駅の利用者は比較的多いものの、その他の駅は皆様の予想より少なく、特に関東にお住まいの方は駅の規模の大きさがイメージできたのではないでしょうか。北海道は車社会であるがゆえに、人口の多い札幌圏でも駅の利用者はそれほど多くありません。
また、降雪量が多く低温地域を走行することから、除雪費用や車両の劣化が早いことによる修繕費用が多くかかることもJR北海道の財政を圧迫しています。経営努力が足りないという批判の声もあるようですが、この数値を見ていただければ、経営努力だけで解決できる問題ではないことは一目瞭然です。
JR北海道は運賃の値上げを実施することを発表していますが、各駅の利用者数を他地域と比較すると致し方ないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
この先の道内の鉄路はどのような未来へと進むのか、注目していきたいと思います。