首都圏路線の混雑率ランキング
今年の7月に2018年度の路線別混雑率の調査結果が発表されました(国土交通省)。今回はこの結果を踏まえながら、首都圏の路線の混雑具合を見ていきたいと思います。
首都圏鉄道路線混雑率ランキング ワースト10
1位 東京メトロ東西線(木場→門前仲町) 199%(±0%)
1位には前年に引き続き同路線、同区間がランクインしました。同路線は以前から混雑が激しく、南砂町駅のホーム新設や折り返し設備の拡充に向けた工事が行われていますが工事完了までには5年以上かかる見込みでそれまでの間は劇的な改善は難しいと思われます。
2位 JR横須賀線(武蔵小杉→西大井) 197%(+1%)
2位には近年目覚ましい発展を遂げている武蔵小杉駅周辺の区間がランクインしました。同区間は武蔵小杉駅の利用者の増加に伴って混雑率が上昇している区間の一つです。武蔵小杉駅では積み残しや改札に入れないほどの混雑となっているといった問題が発生しています。同駅もホーム新設に向けた工事が行われていますが完成までには時間がかかる見通しです。
3位には前年度2位にランクインしていた同区間がランクインしています。この区間は以前から混雑が激しい区間であり、総武快速線が錦糸町から東京方面へ直通はしているものの秋葉原方面への需要も高く依然として高い混雑率となっています。この区間での劇的な混雑緩和はなかなか厳しいと思われます。
4位 JR東海道線(川崎→品川) 191%(+4%)
日中は行楽客で賑わう東海道線も朝夕のラッシュ時には通勤路線としての役割を果たしており、かなりの混雑となっています。最長15両編成の列車が3,4分間隔で走っていてもこの混雑率ですので需要の多さが想像できます。同路線は上野東京ラインとして宇都宮、高崎線方面への直通列車も設定されたため混雑率の上昇に拍車をかけているものと思われます。
5位 日暮里・舎人ライナー(赤土小学校前→西日暮里) 189%(+2%)
この路線は知る人ぞ知る混雑の激しい路線です。列車が5両編成と短いうえに通常の鉄道路線とは異なっている点も多く車両が小さくなっています。そういった背景もあり混雑率の高い路線にランクインしています。列車の長編成化には設備の大規模な改良が必要となる為混雑解消には大きな問題が多い路線です。
同区間は山手線に接続する品川駅へ向かう旅客が多く利用する区間でありそれ故に混雑が激しい区間となっています。りんかい線がJR東日本の路線になり、新木場方面への旅客がそちらに流れれば混雑緩和が見込めると思われますが、りんかい線のJR路線化にはしばらく時間がかかるのでそれまでは混雑率は高いままであると考えられます。
同区間も武蔵小杉駅に隣接した区間で昨年度はワースト3にランクインしていました。同路線も6両編成の列車が使用されている関係で混雑率が高い路線の一つです。最近では川崎市職員の通勤時間をずらすなどの対策によって多少の混雑率の低下が見られています。それでも2分間隔で走っている時間帯もかなりの混雑を見せており、今後の武蔵小杉駅周辺の発展具合によっては更なる混雑悪化も十分にあり得ると思います。
8位 JR埼京線(板橋→池袋) 183%(-2%)
並走路線の多い埼京線ですが、この区間は並走している路線がなく同路線への利用が集中します。また池袋駅はターミナル駅であるため多くの路線に接続しており、同駅までの利用の流れは大きいものとなっています。相鉄線との直通運転が開始される同路線が今後どのような変化を遂げていくのかが楽しみです。
9位 JR中央快速線(中野→新宿) 182%(-2%)
9位には当ブログでも取り上げている中央快速線がランクインです。同区間は副都心新宿へ向かう多くの通勤通学利用がある区間です。あれだけの朝ラッシュ対策がされている当路線でもワースト10に入ってしまうだけの需要があるのだと改めて実感します。
中央快速線の朝ラッシュ対策の秘密 - 日本の鉄路について考える
9位 東急田園都市線(池尻大橋→渋谷) 182%(-2%)
同率9位には東急田園都市線がランクインしました。同区間は地下区間であり複々線化が難しく輸送力の増強が困難な区間です。またターミナル駅である渋谷駅は1面2線でホーム幅も狭く需要に対応できていないのが現状です。それでも混雑率が減少しているのは、大井町線の急行列車に力を入れており、大井町線へ旅客を誘導し混雑の分散を図っているので、この成果が表れたものと思われます。
このように混雑率の目安がありますが、実際にはこれ以上の圧迫感を感じている方が多いのではないでしょうか。特にドア付近や階段などに近く乗り換えに便利な車両は相対的に混雑がひどくなる傾向にあります。
今後は人口減少の社会になっていくこともあり、ハード面での対策は行いにくくなっていく一方だと思います。時差ビズ通勤や自宅勤務といった新たなワークスタイルの普及が今後のカギを握っていると思います。